空缶を蹴飛ばしたい

2022年2月の中学受験に向けた親バカ備忘録

女子学院という風格

一番最初に行く文化祭は、マグノリア祭。

ずっと前からそう決めていました。希望は大きく、結果届かぬ夢だとしても見ていたい。

学校の偏差値などを知る前、校風や所在地などの情報だけを見て、一番娘の性格に合っているのは女子学院だと直感しました。その後偏差値一覧を見て震え上がった訳ですが、まだまだ三年生、もう少し夢は見ていたいお年頃。


マグノリア祭の前情報なしで行きました。行って感じるものが、何かあるはずなので。

案の定、パンフレットをめくっていたら、間髪入れずに「ここに行きたい!」がありました。娘が熱望したのは、屋上の天文ドーム。屋上、つまり6階です。階段。ひぃ。娘はひょいひょい登って行きます。

天文ドームで説明をしてくれたお姉さん、高校生かと思われます。どうやって育てたらこんなに気さくで感じのいいお嬢さんに成長するのかしら。「勉強頑張ってね、そして天文班に入ってね」と激励してくれました。まあ、その時の娘の嬉しそうな顔ったら。一撃です。

その後、天文班の展示を小一時間拝見。娘が好きそうなものばかりたくさん並んでいました。掲示してある濃紺に白字で書かれたあれこれがどれもこれも達筆で、頭がいいと字が汚いなんていうのはウソですね。難しい漢字や言葉もありましたが、娘は熱心に読んでいました。衛星やロケット等の模型も精緻で、購入して帰りたいくらいでした。合宿で星空や月の写真を撮影したというお姉さんにも、たくさんお話を伺いました。入口でいただいた月のしおりもそのお姉さんが3000枚も手作りしたそうで、大切に使わせていただきます。プラネタリウムもステキでした。

天文班に後ろ髪を引かれつつ、書道班へ移動。女子学院と学業成就の文字の隣に、その場で名前を書いてもらいました。なにこの最強のお守り感…!書道班のお姉さんにも「三年生から頑張ってたらどこにでも入れるよ!」と力強いお言葉をいただき、もう娘はハイテンション。単純なので、こういうの本当にありがたいです。

生物班のカエルの解剖も、落研の寄席も満喫。修学旅行で行った広島のまとめは大人顔負け、感服しました。聖歌隊の歌で心を洗われての帰宅。茶道班に行けなかったのは心残り、来年リベンジです。

 

学校公開や見学会の機会が少なく、各種雑誌等でも広告を見ることは稀。校舎も煌びやかではないけれど、必要なものは揃えてあり、清潔で落ち着きがありました。ゴミが落ちていない、と娘が驚いていましたが、文化祭という雑多な雰囲気の中でそれが保たれているのは、確かに驚きに値するかと。

自由でした。本当に自由でした。

ただその自由は、日々それぞれがやるべきことをやった土台の上に成り立っていて、決して楽しいだけのものではなさそうです。決まりごと(校則)がないのもつまりはそういうことで、為すべきことを為していたら、髪が金だろうが赤だろうが、ジェルネイルをしていようがピアスをしていようが構わないのです。制服がなくなったのも、同じ理由ではと推察します。

 

表面のわかりやすい自由に憧れるだけでは、JGではやっていけないでしょう。自分に厳しく他人に寛容であることが、実は学力より何より求められているように思いました。言葉の端々にはしっかりと知性が溢れていて、六年間、この素晴らしい環境のなかで、人間として磨かれていくのですね。生徒集めに力を入れているようではないのに入学希望者は後を絶たない、ただそこにある圧倒的な存在感に納得です。

清貧、とはこういうことかと思いました(決してJGが貧しくはないのはわかっています)。私たちはここにいます、どうぞどなたでもいらしてください、という、御三家の風格を見た気がしました。

 

私と夫で、交代で文化祭を拝見しました。夫も私と同意見、娘はこの学校の雰囲気に馴染むと思った、とのこと。そうなの、雰囲気だけならここなのよ。やることやって自分を律していけるなら、こんなに素敵な環境はないのです。

この雲の上の存在に、娘はもうイチコロ。天文班に入ることまで決めています。文化祭の威力たるや、計り知れません。

勉強はもとより、人間性も身に付けなくちゃならんのですけど、そうね、目標は高い方がいいね。